おくのこどもクリニック

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予防接種関連のQ&A

 

日本の予防接種は欧米と比べて遅れているって本当ですか?

「ワクチンギャップ」という言葉を聞いたことがありますか?欧米の多くの国で定期接種となっているおたふくかぜワクチン、B型肝炎ワクチンは日本では、まだ定期接種化していません。現在は任意接種として接種されています。また、子宮頸がん予防、Hibワクチン、小児用肺炎球菌ワクチンについても、欧米からずいぶん遅れて2013年4月1日から予防接種法改正法により予防接種法に基づく定期接種となったばかりです。これらは欧米では10年~20年前から接種されているものです。WHOが接種するべきと勧めているB型肝炎ワクチンは日本では母子感染予防でしか一般に接種されてきませんでした。ポリオワクチンも長らく生ワクチンを接種していましたが、2012年9月1日から日本でも、やっとより安全な不活化ポリオワクチンが導入されました。B型肝炎ワクチンやおたふくかぜワクチンは、まだ、任意接種のままです。このような事実をみると明らかに日本は欧米の多くの国と比べて遅れていると言わざるを得ません。これを「ワクチンギャップ」と言っているのです。このような予防接種行政の遅れに対して近年やっと改善しようという動きが出てきました。欧米では予防接種で個人を守るだけで無く、予防接種で感染症の病気を根絶して社会を守るという「集団免疫 Herd Immunity」という考え方が浸透しています。これも副作用ばかりを強調しすぎる日本の状況と大きく異なるものと考えています。子どもを守るという考え自体が遅れているのでしょう。「子どもの権利条約」も日本は世界に取り残され158番目に締約された状況からも明らかです。

◆定期接種化について
 
 厚生科学審議会予防接種部会等で「広く接種することがのぞましい」とされていた水痘、おたふくかぜ、B型肝炎、成人用肺炎球菌の4つのワクチンのうち、水痘ワクチン及び成人用肺炎球菌ワクチンの2ワクチンについては、2014年7月16日政省令の改正が地方自治体に通知され、2014年10月1日から定期接種として接種開始されています。 残りのワクチンのうち、B型肝炎ワクチンについては、2015年1月9日に開催された厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会予防接種基本方針部会において定期接種化に向けた意見がまとめられました。さらに、2015年1月15日開催の第6回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会で小児へのB型肝炎ワクチンの定期接種化に関する審議が行われ、2013年度までに「さらなる検討が必要」とされていた小児期のB型肝炎ウイルス(HBV)水平感染の実態といった技術的課題の検討が全て完了したことが報告されました。「全出生児へのユニバーサルワクチネーションにより,B型肝炎による社会的疾病負荷のさらなる軽減につながると考えられる」などの提言案が了承されました。分科会の提言を踏まえ,必要となる財源の確保,ワクチンの供給・実施体制の確保などを整備し早ければ2016年度から定期接種となるようです。他のおたふくかぜワクチン、ロタウイルスワクチンはまだ、先になりそうです。必要なワクチンは無料化を待たずに早期に接種されることをお勧めします。これらのワクチンはWH0(世界保健機関)が接種を推奨し、多くの先進国では子どもを対象に公費で接種が行われています。当クリニックでもこれらのワクチンの重要性を強調していきたいと考えています。

日本は麻疹(はしか)の輸出国と言われていますが本当ですか?また、風疹が流行していると聞きましたが?

米国では現在、ほとんど麻疹の発生はみられなくなっています。麻疹の発生の多くが海外から持ち込まれたもの、特に日本人が持ち込んでいるといって問題になったことがあります(最近の日本での麻疹確定例は国外から持ち込まれた遺伝子をもつものとされ、輸入国となりました)。感染症の全数把握をしている米国では2007年に麻疹43例、風疹12例、水痘4万例、おたふく800例と報告されています。これに対して日本では同じ2007年の推定値で(日本では全数把握されていない)麻疹10万例、風疹1万例、水痘90万例、おたふく70万例と報告されています。この時期、高校生、大学生などの麻疹感染が問題となり中学1年生と高校3年生に麻疹風疹ワクチンの5年間の臨時的な定期接種が開始された効果もあり、2009年はやっと麻疹が初めて1000例以下の741例、2010年は447例、2011年は439例、2012年は283例、2013年は229例、2014年は463例の発生となりました。風疹についても、2008年が292例、2009年が147例、2010年が87例、2011年が378例と報告されていますが、2012年は関西地区、関東地区を中心に風疹の成人男性を中心とした再流行があり2386例の確定例、2013年は14344例の報告がありました。幸い2014年は321例と減少しましたが、今後また、2013年のような大流行がおこらない保証はありません。2013年1月から7月7日までのデータを国立感染症研究所が分析したところ、患者の77%が男性で、そのうち約8割が20〜40歳代でした。女性では20歳代が41%を占めています。従来風疹は乳幼児を中心に大きな流行がみられましたが、同年は成人に多いことが特徴でした。5年間の臨時的な麻疹風疹ワクチンの成果は出たと考えていますが、この数字は日本の人口の2.5倍の米国と比べるとまだまだの状況であることはわかっていただけると思います。子どもの教育、予防接種などの進んだフィンランドでは1994年に世界で初めて麻疹、風疹、おたふくの排除に成功したと宣言しています。予防接種の接種率を高めて、麻疹も風疹もおたふくも水痘もみたことが無いといえるような日本になることを夢見ています。

(先天性風疹症候群について)妊婦さんが妊娠のごく初期に風疹ウイルスに感染すると、お腹の中の赤ちゃん(胎芽、胎児)も感染し、生まれてきた赤ちゃんに起きる障害を先天性風疹症候群といいます。目におこる病気として白内障や緑内障、心疾患、感音性難聴(3主症状)、精神運動性発達遅滞などが見られます。先天性風疹症候群の発生頻度は、妊婦さんが風しんに感染した時期により異なります。妊娠4週までは50%以上、5〜8週は35%、9〜12週は15%、13〜16週は8%とされています。妊娠8週までの罹患では、白内障、心疾患、難聴の2つ以上の疾病が出現し、それ以降20週までの罹患では難聴のみのものが多く、妊娠後半の罹患では、胎児に感染は起こっても、先天異常は出現しません。つまり妊娠したかどうかまだ十分判定がつかない時期が一番危険であるということはわかっていただけると思います。妊娠が判明して母子手帳を発行されるのは平均11週くらいですから、それから急いで家族が風疹ワクチンを接種しても、その免疫が確保されるのに2週間くらいかかりますから、その時にはすでに先天性風疹症候群の危険度が下がり始めた時期になります。理想的には風疹の免疫のないすべての年齢の人が風疹ワクチンを積極的に受けていただくことが重要と考えています。先天性風疹症候群は2012年に4例、2013年に32例、2014年には9例報告されています。

同じ日に異なる種類のワクチンを接種出来ますか?

同じ日に異なる種類のワクチンを接種することを「同時接種」と言います。「同時接種」は異なるワクチンを混ぜて接種するのでは無く、異なるワクチンを場所を代えて、例えば左腕と右腕に接種するものです。2種類、3種類以上のワクチンを接種することも可能です。安全性についても同時接種の方が副反応が多いという報告はありません。ワクチンの副反応の救済制度も1種類のワクチン接種と同様に認められています。米国では2ヶ月の乳児にB型肝炎ワクチン、3種混合ワクチン、Hibワクチン、小児用肺炎球菌ワクチン、不活化ポリオワクチン、ロタウイルスワクチンの6種類のワクチンが同時接種されています。Hibワクチンや小児用肺炎球菌ワクチンが日本でも接種出来るようになり、これらを接種するためにどうしても同時接種する必要性が出てきました。当クリニックでは四種混合ワクチン、Hibワクチン、小児用肺炎球菌ワクチン、B型肝炎ワクチン、ロタウイルスワクチンの5種の同時接種も普通に行っています。その他の組み合わせもご家族と相談しながらしています。

日本小児科学会は「日本小児科学会の予防接種の同時接種に対する考え方」(登録:2011.1.19)(更新:2014.1.12)を発表し、同時接種の安全性、必要性について述べています。

 

麻疹・風疹混合、二種混合ワクチンはどんなタイミングで接種すれば良いのですか?

麻しん・風しんワクチン(定期接種)
対象者は以下です。
1期:1歳から2歳になる1日前まで
2期:幼稚園・保育園の年長に相当する人(平成23年4月2日~平成24年4月1日生まれ)
(3期と4期については2013年3月31日で終了しました。)

WHO(世界保健機関)により世界中で その国・地域から麻疹(はしか)を排除する(病気の発生、流行をなくす)取り組みがなされています。日本は国内での麻疹排除の目標年を2012年とすることをWHOと約束していましたが達成出来ませんでした。かなり遅れましたが、世界保健機関西太平洋地域事務局により2015年3月27日に日本が麻しんの排除状態にあることが認定されました。南北アメリカ大陸では2002年に国内の麻疹を排除することに成功していますから随分遅れたと言えます。麻疹がなくなれば、昔のように麻疹によって重篤な脳炎や肺炎になったり、亡くなられたりする方がいなくなることが期待できます。現在、東京など都市部で時々流行している麻疹は国外から持ち込まれた遺伝子タイプのものです。WHOとの約束の時期には間に合いませんでしたが、5年間の3期、4期のワクチン接種は確実に麻疹の報告数からみると成功したように思います。


二種混合(ジフテリア、破傷風)ワクチン(定期接種)
2期:11歳以上13歳になる1日前まで(小学校6年生の間に受けましょう)

 

おたふく、水ぼうそうワクチンはどんなタイミングで接種すれば良いのですか?

おたふくワクチン(任意接種ー有料) 水ぼうそうワクチン(2014年10月から定期接種ー無料)
これらのワクチンは欧米の多くの国では定期接種のワクチンとなっています。おたふくワクチンは多くの国で2回接種しています。水ぼうそうワクチンも米国、ドイツなどでは2回接種となっています。1歳のお誕生日を過ぎたら、出来るだけ早い時期に接種することをお勧めします。おたふくは自然感染の場合には髄膜炎、難聴などの合併症を指摘されており、また、両疾患ともかかった場合、かなり長期に学校、幼稚園(保育園)を休んでいただくことになります。集団生活に入る前にぜひお受け下さい。日本小児科学会は水痘の1回目の接種を1歳で、2回目をこれまでより早めに1歳6ヶ月から2歳の間にすることを推奨しています。

小児科学会は水痘、おたふくかぜワクチンの定期接種化に向けて要望書を発表しています。すでに水痘ワクチンは定期接種化していますが、小児科学会の考え方が理解できると思います。

水痘ワクチンの早期定期接種化について

おたふくかぜワクチンの早期定期接種化について

breakthrough水痘について
水痘ワクチンを接種しているにもかかわらず、水痘にかかってしまうことを「breakthrough水痘」といいます。米国では水痘ワクチンの定期接種導入により患者数は大きく減少しました。しかし、1回の接種だけでは不十分でbreakthrough水痘例が多くみられ、一定数以下に水痘罹患者数のさらなる現象がみられなくなりました。breakthrough水痘が起こる原因として最も考えられるのは、接種しても十分な免疫がつかないprimary vaccine failure( PVF )です。おたふくワクチンなど他のワクチンの多くでは、接種後に十分な免疫が獲得されたものの、その後に自然のウイルスとの接触が無いと徐々に、その免疫が低下してしまうsecondary vacctine failure(SVF)が多いようですが、水痘は特に1回の接種で十分な免疫がつかず軽症ではあるものの、かかってしまう人が多いのです。「軽い水痘で済むのだからそれで十分ではないか」と言われる方もおられますが、水痘と他の多くのウイルスの決定的な違いは、水痘は一度罹ってしまうと、他の多くのウイルスとは異なり、体の中に一生潜伏してしまうことです。免疫力の高い若い時期には少ないですが、高齢になると水痘ウイルスの再活性化により強い痛みを伴う「帯状疱疹」という病気を発症する可能性が残ってしまうのです。水痘ワクチンを複数回接種して完全に帯状疱疹が予防できるという確たる証拠は現時点では有りませんが、確実に免疫を持つことにより帯状疱疹の発症も抑えられるのではないかと期待されています。米国では水痘患者数は一定数まで抑制されているので2回目の接種を4〜6歳にしており効果を上げています。日本では多数の水痘患者さんがいて流行が抑えられていませんから、ドイツを見習って早期に2回目の接種をすることが薦められています。早期の保育園入園などを考えておられる方には2回目の接種を1回目の3か月後くらいからをお勧めしています。当分は自宅から出る機会が少ない方には一番免疫効果が高いと思われる1年後くらいでも良いでしょう。水痘ワクチンは2回接種でほぼ完全に予防できるとされています。是非、2回の接種を早期に完了しましょう。

 
2014年1月15日の第4回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会(分科会長:岡部信彦氏,川崎市健康安全研究所所長)で小児への水痘ワクチンおよび成人への23価肺炎球菌多糖体ワクチン(PPSV23)の定期接種への追加に関する審議が実施され、了承されました。2014年7月2日、「予防接種法施行令の一部を改正する政令」(平成26年政令第247号)が交付され、さらに2014年7月16日に「予防接種法施行規則及び予防接種実施規則の一部を改正する省令」が交付され、両ワクチンの定期接種が2014年10月1日から開始されることが決まりました。
水痘ワクチンの接種方法・対象の概要は次の通り。
【水痘ワクチン】接種対象:生後12カ月から生後36カ月の小児
接種方法:乾燥弱毒生水痘ワクチンを3月以上の間隔で合計2回皮下注射
標準的な接種期間:生後12カ月から生後15カ月までに初回接種,同接種終了後6〜12カ月で追加接種
その他:水痘既罹患者は定期接種の対象外

おたふくかぜ(流行性耳下腺炎)にかかり、一時的なものも含め、難聴となった人が2年間で少なくとも336人に上ることが2017年9月5日、日本耳鼻咽喉科学会の調べで分かりました。これまでも難聴になる危険性は指摘されてきたが、全国調査で規模が明らかになるのは初めて。同学会は「静観すべきではない」として、現在接種率が低いワクチンの定期接種化を厚生労働省に要望する意向を示しました。同学会は今年2月から、全国の耳鼻科5600施設を対象に(回答率64%)、2015年から2年間のおたふくかぜの難聴への影響について調べ、難聴になった336人に症状の重さなどを聴いたところ、約8割の261人が高度の難聴になったことが判明。両耳とも難聴となった14人中11人が日常生活に支障が出たため、補聴器を使ったり、人工内耳を埋め込んだりしたとしています。特に子供への影響が大きく、難聴になったのは、10歳未満が151人、10代は69人で、未成年者が65%を占めました。同学会によると、日本は先進国で唯一、ワクチンが定期接種化されていない。接種率は30〜40%と低迷しており、「園や学校での大流行の原因となっている」といいます。同学会代表は「(おたふくは)自然にかかっておいた方がいい」という噂は間違っている。ワクチンの定期接種化を進め、難聴になって後から苦しむ人をなくしたいとしています。

 

ヒブワクチン(Hib)とはどんなワクチンですか?また、その接種対象者を教えて下さい。

インフルエンザ菌b(Hib)は乳幼児期に髄膜炎や喉頭蓋炎をひきおこす細菌です。冬に流行するインフルエンザはインフルエンザウイルスの感染としてよく 知られていますが、細菌のHibは全く別物です。欧米ではほとんどの地域でこのインフルエンザ菌bのヒブワクチンが接種されており、これが接種され始めてから劇的に感染者が減少しました。日本でもやっと2008年12月19日から欧米に10年以上遅れて接種可能になりました。
具体的な接種スケジュール (接種対象者:生後2ヶ月から5歳になる1日前まで)

 
接種開始齢 2ヶ月齢以上7ヶ月になる1日前までの場合
初回免疫:27日(医師が必要と認める場合には20日)以上、標準的には56日までの間隔をおいて3回皮下接種
*ただし、初回2回目と3回目の接種は生後1歳までに行うこととし、1歳を超えた場合は行わないこと。この場合も追加接種は可能であるが、初回接種終了後、27日(医師が必要と認めるときは20日)以上の間隔をおいて1回行うこと。
追加接種:初回接種終了後7ヶ月以上、標準的には13ヶ月までの間隔をおいて1回皮下接種。
 
接種開始齢 7ヶ月から12ヶ月になる1日前までの場合
初回接種:27日(医師が必要と認めるときには20日)以上、標準的には56日までの間隔をおいて2回皮下接種
*ただし、初回2回の接種は1歳までに行うこととし、1歳を超えた場合は行わないこと。この場も追加接種は可能であるが、初回接種終了後、27日(医師が必要と認めるときには20日)以上の間隔をおいて1回皮下接種
追加接種:初回接種終了後7ヶ月以上、標準的には13ヶ月までの間隔をおいて1回皮下接種。
接種開始齢 1歳以上5歳になる1日前までの場合
通常、1回皮下接種。
副反応として、注射部発赤44.2%、注射部腫脹18.7%、注射部硬結17.8%、不機嫌14.7%等が報告されていますが、重篤なものはほとんどありません。

小児用肺炎球菌結合型ワクチン(プレベナー)とはどんなワクチンですか?また、その接種対象者を教えて下さい。

小児用肺炎球菌結合型ワクチン(PCV7)が2010年2月24日に発売され接種可能になりました。乳幼児の髄膜炎の原因菌はすでにワクチン接種が開始されているHibと肺炎球菌がほとんどです。肺炎球菌はHibと比べると頻度は少ないですが重症度はHibより高い菌です。髄膜炎予防セットとしてHibと肺炎球菌ワクチンの両者を接種することをお薦めします。WHOも2007年にPosition paperを発表し、世界各国での肺炎球菌結合型ワクチンの定期接種化を推奨しています。 日本でも欧米に遅れて2013年4月1日から定期接種となりました。こどもの肺炎球菌情報サイト
接種対象者・接種時期 本剤の接種は2カ月から5歳になる1日前までの者に行います。

(標準的な接種方法)

初回接種:生後2ヶ月から生後7ヶ月になる1日前まで
1歳までに27日以上の間隔をおいて3回皮下注射
ただし、初回2回目、3回目接種は2歳になる1日前までに行うこと。それを超える場合は接種を行わないこと。この場合も追加接種については実施可能。
また、初回2回目の接種が生後12月を超えた場合、初回3回目の接種は行わないこと(追加接種は実施可能)。

追加接種:1歳から1歳3ヶ月
初回接種終了後60日以上の間隔をおいた後にあって、1歳以降に1回皮下注射

(標準的な接種パターン以外について)

初回接種開始時に生後7ヶ月から12ヶ月になる1日前までの者
初回免疫:標準的には生後13ヶ月までに27日以上の間隔をおいて2回皮下注射
ただし、初回2回目の接種は、2歳になる1日前までに行うこととし、それを超えた場合は接種を行わない(追加接種については実施可能)。
追加免疫:初回接種終了後60日以上の間隔をおいた後であって、1歳以降に1回皮下注射。

初回接種開始時に1歳から2歳になる1日前までの者
60日以上の間隔をおいて2回接種

初回接種開始時に2歳から5歳になる1日前までの者
1回接種


13価小児用肺炎球菌ワクチン(PCV13)が2013年10月28日(月)に発売されました。その後、11月1日(金)より定期接種ワクチンとして開始されました。11月1日以降は、これまで使用してきた7価小児用肺炎球菌ワクチン(PCV7)はすべてPCV13に置き換わり使用しています。PCV7には血清型として、4、6B、9V、14、18C、19F、23Fが含まれていましたが、PCV13にはこれらの他に血清型として、1、3、5、6A、7F、19Aが含まれており、より多くの血清型の肺炎球菌に対する免疫が確保できます。PCV13は、2009年12月に欧州で、2010年2月には米国において、それぞれ乳幼児への適応が承認されました。現在では、世界の120カ国以上で承認され、米国、英国、ドイツ、フランスを含む69カ国で定期接種ワクチンとして導入されています(2013年4月現在)。厚労省平成25年度第1回庵原・神谷班班会議資料によると国内9県の小児侵襲性感染症から分離された肺炎球菌の血清型からそれぞれのワクチンのカバー率を比較すると、2007年7月〜2010年1月(256症例)ではPCV7 76.8%、PCV13 90.2%、2010年2月〜2011年3月(216症例)ではPCV7 78.7%、PCV13 90.7%、2011年4月〜2013年6月(227症例)ではPCV7 37.0%、PCV13 66.1%となっています。PCV7に含まれないが、PCV13に含まれる19Aの血清型の割合が増えていることも確認されています。
小児肺炎球菌ワクチン切り替えに関するQ&A( 厚生労働省)

BCGの接種時期が変更になったと聞きましたが?

BCGの接種時期はこれまで生後3ヶ月から生後6月ヶ月になる1日前までとされてきました。今回の2013年4月1日からの接種対象年齢・標準接種期間の見直しにより、変更後は対象年齢が生後3ヶ月から1歳になる1日前までとなり、標準接種期間が生後5ヶ月から生後8ヶ月になる1日前までとなりました。理想的なワクチン接種として生後2ヶ月にHibワクチン、小児用肺炎球菌ワクチン、ロタウイルスワクチン、B型肝炎ワクチンを当クリニックではお勧めしています。しかし、BCGを生後3ヶ月に接種してから、生ワクチンですから27日あけて、生後4ヶ月時に始めてワクチン接種にお出でになる方が後を絶たず、この場合は既にロタウイルスワクチンは接種出来ず、またHibや肺炎球菌の免疫がつくのが大幅に遅れて本来の目的が充分達成出来ない事態になっています。今回の見直しはこのようなことの無いようにするための大きな前進だと評価しています。
 
BCG接種時期の見直しを検討するに至った経緯を説明します。2012年8月6日に開催された厚生科学審議会感染症分科会結核部会において、近年BCG接種部後に骨炎・骨髄炎の副反応発生が増加しており、因果関係は不明だが、生後早期の接種との関係も否定できないことから、BCGの接種時期を生後6ヶ月までから1歳までに延ばすことについて、検討してはどうかという意見がありました。これに加えて、近年、接種するワクチンが増加し、他のワクチンの接種スケジュールと調整していくのが困難であり、接種時期を1歳まで延長するのが望ましいとされました。(生後6ヶ月頃に発症数が多いHIb感染症や肺炎球菌感染症に対処するためにはこれらのワクチンを可能な限り早期に初回接種を終える必要があるし、ロタウイルスワクチンは初回接種を14週5日までに終えなければいけないなど、BCGを3ヶ月〜6ヶ月に接種時期とすると同時接種してもスケジュールを立てるのが極めて困難である)そのためには接種時期を1歳まで延ばしても、小児結核が増えないというシミュレーションがあればよいのではないかと考えられました。シミュレーションの結果、接種時期の引き延ばしにより1歳未満で最大5人、1〜2歳で最大4人程度の発生増加が想定されるとされました。結論として小児結核への影響として若干増加の懸念はあるが骨炎・骨髄炎への影響は減少する可能性があり、予防接種スケジュールは大きく緩和されるとの利点が多く、接種時期の変更がなされたようです。

 

日本脳炎予防接種について接種対象者や接種時期について教えて下さい

日本脳炎の予防接種後に重い病気になった事例があったことをきっかけに、平成17年度から平成21年度まで、日本脳炎の予防接種のご案内を行いませんでした(いわゆる「積極的勧奨の差し控え」)。その後新たなワクチンが開発され、現在は日本脳炎の予防接種を通常通り受けられるようになっています。このため、平成7年4月2日〜平成19年4月1日生まれた方は、平成17〜21年度に日本脳炎の予防接種を受ける機会を逃していることがありますので、母子健康手帳などをご確認いただくとともに、今後、市町村からのご案内に沿って、接種を受けていただくようお願いします。
日本脳炎の予防接種の、標準的な接種スケジュール
1期初回接種 :3歳に達した時から4歳になる1日前
6日以上の間隔をおいて、標準的には28日までの間隔で2回皮下注射
1期追加接種:1期初回終了後、6ヶ月以上標準的にはおおむね1年後に1回皮下注射
2期接種(1回) :9歳から13歳になる1日前までに1回皮下接種

●生まれた年ごとの、具体的な影響と対応 ※ 平成7年4月2日〜平成19年4月1日生まれの方は、20歳の誕生日の1日前までに未接種分を接種することができます(平成25年2月1日の通知により、平成7年4月2日〜5月31日生まれの方が特例対象者に加わりました)。 既に1期接種を1回又は2回受けた方は、前回の接種から接種間隔が開いていても差し支えないので、(6日以上の間隔をおいて)残りの回数を接種してください。 平成19年4月2日〜平成21年10月1日に生まれのお子さんで、1期の接種がすべて終了せずに7歳6ヶ月を超えてしまった場合は、2期の年齢(9歳〜13歳未満)に1期の不足分を接種することができます。2期の接種は、1期の終了後6日以上の間隔をおけば制度上は実施できることとしていますが、通常1期接種の終了後、おおむね5年の間隔をおいて接種するものであり、この間隔を参考にすることが望ましいとされています。日本脳炎の予防接種についてのご案内(厚生労働省)


 「日本脳炎罹患リスクの高い者に対する生後6か月からの日本脳炎ワクチンの推奨について
日本小児科学会予防接種・感染症対策委員会は最近の日本脳炎の罹患状況より、特に2015年千葉県において生後11ヶ月児の日本脳炎症例が報告されたことをうけて、日本脳炎流行地域に渡航・滞在する小児、最近日本脳炎患者が発生した地域・ブタの日本脳炎抗体保有率が高い地域に居住する小児に対しては、生後6か月から日本脳炎ワクチンの接種を開始することが推奨されると提言しています。当クリニックでも希望される方に対しては生後6ヶ月以上のお子さんには定期接種として接種させていただきます。

「子宮頸がん」ってどんな病気?

子宮頸がんは、女性なら、誰でも発症する可能性のある病気です。実は、20~30代の若い世代の女性において最も多いがんなのです。子宮頸がんによって、赤ちゃんを出産できなくなってしまったり、命を落としている女性も少なくない現状なのです。「子宮頸がんになるのは性経験が多い人」という間違った情報もあり、誰にも相談できず一人で悩む方もおられるようです。子宮頸がんの原因は、ヒトパピローマウイルス(HPV)というウイルスの感染であるとわかっています。そのため、正しい知識と予防で、子宮頸がんは未然に防ぐことができるのです。子宮頸がんを予防するためには、子宮頸がんワクチンの接種と、定期的な検診が有効です。子宮頸がんは遺伝などに関係はありません。性交経験がある女性なら誰でもなる可能性のある病気です。近年では20代後半から30代に急増、若い女性の発症率が増加傾向にあります。子宮頸がんは、がんによる死亡原因の第3位、女性特有のがんの中では乳がんに次ぎ第2位を占めており、特に20代から30代の女性においては、発症するすべてのがんの中で第1位となっています。また、全世界で毎年、53万人が発症し、27万人もの女性が子宮頸がんによって大切な命を失っています。これは時間に換算すると約2分間に1人の割合。日本でも、毎年10,000人が子宮頸がんと診断され、約3500人が亡くなっています。滋賀県でも毎年160人が診断され、約50人が亡くなっています。

 

「子宮頸がんワクチン」に2種類のワクチンがあると聞きましたが?

子宮頸がんの発症から長期にわたって守ってくれる、子宮頸がん予防ワクチンが接種できるようになりました。子宮頸がんの原因は、ほぼ100%がヒトパピローマウイルス(HPV)というウイルスの感染です。多くの場合、性交渉によって感染すると考えられていて、発がん性HPVは、すべての女性の約80%が一生に一度は感染しているありふれたウイルスです。発がん性HPVの中でも特に子宮頸がんの原因とされているHPV16型と18型の感染を防ぐことにより効果的に発がんの予防が期待できます。「子宮頸がんのワクチンをなぜ小児科で?」と疑問に思われるかもしれません。実は性行動のまだない小児にこのワクチンを接種するのが最も効果的な方法で、世界中で10歳~15歳くらいの年齢で標準的に接種されているのです。このHPV16型と18型を含むサーバリックス(GSK社製)というワクチンが日本では2009年10月に承認され、2009年12月より一般の医療機関で接種することができるようになりました。海外ではすでに100カ国以上で使用されています。また、上記のHPV16型と18型に加えてHPV6型とHPV11型を含む4価のワクチン、ガーダシル(MSD社製)が2011年7月に承認され、2011年8月から販売、接種できるようになりました。2006年に米国で承認されて以来、世界120以上の国と地域で承認されています。HPV6型とHPV11型は尖圭コンジローマという外陰部、肛門周囲、膣などにできる皮膚病変や母子感染により出生児が非常に頑固な呼吸困難を繰り返す再発性呼吸器乳頭腫という病気の発症に関与しています。子宮頸癌だけでなくこれらの病気も予防できるように設計されたものです。2価より4価ワクチンの方が対象の病気が多く優位に思いますが、2価ワクチンと4価ワクチンの免疫力(抗体価)を直接比較したデータでは、2価ワクチンの方がやや高いとの報告もあります。ただ、実際に病気を発症した人(比率)の疫学的データでは、4価のワクチンが劣るものではありませんでした。優劣つけがたいワクチンです。下記、両者のワクチンのHPも参考に希望のワクチンを決定していただき、接種者のご希望にそって、どちらでも接種します。
「しきゅうのお知らせ」(ジャパンワクチン株式会社)
http://allwomen.jp/
「子宮頸がん予防情報サイト もっと守ろう.jp」(MSD株式会社)
http://www.shikyukeigan-yobo.jp/

 

子宮頸がんワクチン接種について、長浜市子宮頸がん予防ワクチン接種事業について教えて下さい。

感染を防ぐために3回のワクチン接種が必要です。これにより発がん性HPVの感染から長期にわたってからだを守ることが可能となります。しかし、このワクチンは、すでに今感染しているHPVを排除したり、子宮頸部の前がん病変やがん細胞を治す効果はありません。あくまで接種後のHPV感染を防ぐものです。子宮頸がん予防ワクチンには現在2種類のワクチンが存在します。優劣つけがたいワクチンでどちらのワクチンでも良いですから選んでいただいて接種しています。
対象者は小学校6年生〜高校1年生相当の女子です。つまり平成11年4月2日〜平成16年4月1日生まれの方が対象となります(ただし、標準接種は中学校1年生としています)。
【サーバリックス】
子宮頸がんの原因となりやすいHPV16型とHPV18型のウイルスに対する抗体をつくらせるワクチンです。なお、このワクチンには中身(ウイルス遺伝子)がないので、接種しても感染することはありません。まず、初回接種を終えてください。その後、2回目を1回目接種から1月後、3回目を1回目接種から6ヶ月後に接種します。このように、合計3回の接種を受けていただきます。ただし、上記の方法をとることができない場合は、1ヶ月以上の間隔をおいて2回接種した後、1回目の注射から5ヶ月以上、かつ2回目の注射から2ヶ月半以上の間隔をおいて1回注射します(筋肉内注射)。
【ガーダシル】
HPV16型と18型に加えてHPV6型とHPV11型を含む4価のワクチンです。まず、初回接種を終えて下さい。2回目の接種を1回目接種から2ヶ月後(少なくとも1ヶ月以上の間隔をおいて)、3回目を1回目接種から6ヶ月後(2回目から少なくとも3月以上の間隔をおいて)接種します(筋肉内注射)。このように、サーバリックスと同様合計3回の接種を受けていただきます。
これらのワクチンによる予防効果は抗体価などからの推計モデルからどちらも長期間、自然感染で得られる抗体価を優位に上回る値が維持できると考えられています。
2013年4月1日からはこれらの子宮頸がん予防ワクチンは定期接種となりましたので、対象者は無料で接種していただけます。 現在、市は積極的に勧奨することを控えていますが、定期接種を中止するものではないので、対象者のうち希望者は定期接種として受けることができます。

 

(ワクチンの副反応に関してご心配の方へ)
厚生労働省健康局から2013年6月14日付けにて、「HPVワクチン接種の積極的な勧奨を一時中止する。しかし、接種自体を中止するわけではなく、接種希望者については定期接種として接種可能な環境を維持する」旨の勧告が発表されました。
1.自治体は積極的な勧奨とならないよう留意する。2.定期接種を中止するものではなく、希望者が定期接種を受けることができるよう接種機会を確保する。 3.接種する場合は、積極的な勧奨を行っていないことを伝えるとともに、ワク チンの有効性および安全性等について十分説明する。4.副反応症例の速やかな調査を行い、評価し、積極的な勧奨の再開の是非を判 断する予定である。
 
ワクチン接種を契機として重篤な有害事象が報告されたことから、安全性が確認されるまでの間、強い推奨を一時中止するという勧告は現時点ではやむをえない判断かもしれませんし、副反応(有害事象)で苦しまれている方々には心から早期に回復されることを期待しています。この問題に関してはマスコミの過熱報道があり、大きな誤解も生じていると思います。冷静に世界の状態も把握してみたいものです。WHO (世界保健機関)の Global Advisory Committee on Vaccine Safety(GACVS)の2013年6月13日のこのワクチンに対する安全性情報が発表されています。(Statement on HPV vaccines)   (WHOの公式声明「HPVワクチンに関するGACVSの安全情報日本語訳)
上記の Statement においては世界中でHPVワクチンは1億7500万ドースが配布されており(日本では800万ドース)、蓄積された安全性のデータから問題は生じていないとしています。日本から報告された5例のCRPS症例についてもほとんどは本来のCRPSには一致しないと述べています。
さらにGACVSは、子宮頸がん予防ワクチン(HPVワクチン)について、「現在まで、接種推奨に変更を来すような安全性の問題は確認されない」とする新たな声明を2015年12月17日に発表しました。
(Statement on HPV vaccine 2015)
この中で勧奨中止が続いている日本の現状にも言及し、「薄弱なエビデンスに基づく政策決定は、真に有害な結果となり得る」と厳しい見解が示されています。声明によると、200万人の少女を対象に行われたフランスの大規模研究データを検討した結果、HPVワクチン接種後に起こる自己免疫疾患について、接種を受けた群と受けていない群とで発症率に有意差がなかったとしています。勧奨中止の日本の対応については大変厳しく指摘、約2年半にわたり、HPVワクチンの接種勧奨を中止している日本の状況について、声明では、「専門家の検討部会がワクチンとの因果関係を否定する結論を示したが、再開に向けた合意に至っていない。結果として、若い女性たちは予防可能なHPV関連がんにかかりやすい状態に置かれている」と指摘。国として、科学的なエビデンスに基づいた予防接種プログラムを進める重要性を改めて強調しています。

WHOはじめ海外の政府機関等は子宮頸がん予防ワクチンの接種中止を勧告したことは過去にも現在にもなく日本は非常に特殊な状態にあるといえます。日本の公衆衛生、ワクチン行政において、大きな禍根を残すことのないように希望します。
日本産婦人科医会がん対策委員会による被接種者へのアドバイスが以下に述べられています。
1. 既定通りワクチン接種をすでに完了された方は、特に心配することはありません。
2. 1 回または 2 回の接種が終了し、今後も継続しようと考えられている方は、あらためてワクチンの説明を受けられた上、接種を続けてください。
3. 1 回または 2 回の接種が終了し、今後の接種を迷っている方は、担当医と相談することを お勧めします。なお、接種間隔が延びたとしても、多くの場合 3 回接種することによって 十分な効果が期待できます。
4. 現状ではワクチン接種を行わないと考えられている方は、国の積極的勧奨が再開してから あらためて接種の是非をご検討ください。

日本小児科学会、日本小児保健協会、日本小児科医会、日本小児期外科系関連学会協議会は共同で 子宮頸がん予防ワクチンの「積極的な接種勧奨の差し控え」に関わる要望書を2013年7月19日に出しました。この要望書では報告された副反応について充分精査したうえで、明らかな副反応の増加がなければ、有効性とリスクを勘案して、「積極的な接種勧奨の差し控え」を即刻解除することを要望するとしています。また同様な内容で2013年7月21日には日本小児科学会の見解も発表しています。
日本産婦人科学会、日本産婦人科医会、日本婦人科腫瘍学会は共同で子宮頚癌予防ワクチンの接種勧奨再開審議に関する要望書を2013年9月に厚生労働大臣宛に提出しました。この要望書においても、早期の「積極的な接種勧奨の差し控え」を即刻解除することを要望しています。
さらに、最近でも日本産婦人科学会は2015年8月29日に子宮頸がん予防ワクチン(HPVワクチン)接種の勧奨再開を求める声明を発表しています。また、2016年4月18日に日本小児科学会、日本産婦人科学会、等の関連15学術団体で構成される予防接種推進専門協議会が「ヒトパピローマウイルス(HPV)ワクチン(子宮頸がん予防ワクチン)接種推進に向けた関連学術団体の見解」を出しました。この見解でも「このほど、これらの対策がほぼ完了したこと及び本ワクチンの国外における確固たる有効性が示されてきたことを受けて、本協議会は、専門的な見地から、本ワクチンの積極的な接種を推奨するものであります。」と述べています。さらに2017年1月13日には日本産婦人科学会が「HPVワクチン(子宮頸がん予防ワクチン)接種勧奨の早期再開を求める声明」を出して、強い見解を発表しています。

ニュース23で全国放送で放送されたHPVワクチン接種後に生じた運動障害や慢性の痛みなどの症状について研究した、厚生労働科学研究事業「子宮頸がんワクチン接種後の神経障害に関する治療法の確立と情報提供についての研究」(代表:信州大学医学部 池田修一教授) においてワクチンの副反応が確定的なものと報道されましたが、これについて、厚生労働省は異例の見解を発表して否定しています。

日本産婦人科学会は2017年8月28日、子宮頸がんワクチンの接種者と未接種者を比べると発がん性の高いタイプの感染率に9倍の差が出たなどとして、国に接種の呼び掛け再開を求めるHPVワクチン(子宮頸がん予防ワクチン)接種の積極的勧奨の早期再開を強く求める声明を発表しました。声明によると、新潟大の榎本隆之教授らは新潟県内で20〜22歳の女性を対象に、発がんしやすいタイプのウイルス保有状況を調査しました。この結果、ワクチンを接種した1297人のうち感染したのは3人(0.2%)だったのに対し、接種しない675人のうち12人(1.8%)が感染した。こうした成果をもとに「有効性のデータは蓄積されてきている」と強調しました。

 

ロタウイルスワクチンが接種できるようになったと聞きましたが?

冬場を中心に感染が広がるロタウイルス胃腸炎は乳幼児を中心に下痢を主徴とする感染症です。普通の風邪やウイルス性胃腸炎と同じ程度のものと考えておられる方も多いのですが、合併症として脱水だけではなく、群発型けいれんや脳炎、脳症が生じることもあります。国内では乳幼児にとって最も重症の胃腸炎のウイルスと考えて下さい。ロタウイルスワクチン(ロタリックス)が 2011年11月21日に発売されました。生後6週から24週までに4週間隔開けて2回の接種が必要です(初回接種は14週6日まで)。他のワクチンから適切な間隔をおく必要もありますので接種できる方は限られています。現時点で国や地方自治体からの補助は望めそうに有りませんから、自費での接種となります。当クリニックでは1回接種につき13400円、2回接種必要ですので合計26800円となります(税込み)。また、2012年7月20日に5価のロタウイルスワクチン(ロタテック)も発売されました。こちらは生後6週から生後32週( 8ヶ月)までに3回の接種が必要です。価格は1回接種につき8700円、3回接種が必要ですので合計26100円となります(税込み)。どちらも大変高額のワクチンですが、お勧めすべきワクチンと考えています。この時期に接種する三種混合ワクチンやHibワクチン、小児用肺炎球菌ワクチンなどとの同時接種が必要になります。他のワクチンとの接種間隔を考えますと、はじめてのワクチン接種は生後2ヶ月が理想的です(最近は生後6週にロタウイルスワクチンとB型肝炎ワクチンを接種して、後のスケジュールに余裕をもたせる方も増えています)。米国をはじめ海外では既に定期接種として接種されている国が増えてきました。

米国家庭医学会(AAFP)は2013年6月24日、予防接種に関する最近の問題について、米国疾病対策センター(CDC)の内部機関である予防接種実施に関する諮問委員会(ACIP)での議論を紹介しました。
議題の一つは、ロタウイルスワクチン接種を受けた小児の腸重積リスク上昇について。ワクチン接種後の腸重積の発症は、接種を受けた小児では10万人当たり0.7-5.4人増加すると推定されます。しかし、ワクチン接種により死亡、入院、救急外来受診に至る腸重積患児が1人発生する事例に対して、ロタウイルス感染による死亡を免れる患児は100人、入院を免れる患児は1000人、救急外来受診を免れる患児は1万人と推定され、ロタウイルスワクチンの利益は明らかに大きいと報告しています。CDCはワクチン接種を強く勧めています。

 

ロタウイルスワクチンに2種類のワクチンがあると聞きましたが?

ロタウイルスワクチンにはロタリックス(GSK社製、日本ではジャパンワクチン社の販売)とロタテック(Merck社製、日本ではMSD社販売)の2種類があります。ロタテックが2012年7月20日に発売され使用できるようになりました。当クリニックでは両ワクチンともに同日からお選びいただけるようになりました。ただし、既に1回ロタリックスを接種しているお子さんは、2回目のワクチンもロタリックスをお受けいただきます。
ロタリックスは単価ワクチンでG1P(8)のみです。ヒトで最も検出頻度が高い遺伝子型のヒトロタウイルスを継体培養し弱毒化したヒトロタウイルス由来のワクチンです。2回接種で少ない回数でよいという事は利点です。販売は2004年にメキシコで先駆けて接種開始され、アメリカでの承認は2008年です。重症化への有効性は85%程度、入院への有効性も85%程度です。接種量は1.5mlです。(米国シェア30%、世界シェア50%)
ロタテックはG1・G2・G3・G4・P(8)の5種類の血清型のロタウイルス株を含む5価のワクチンです。ウシのロタウイルス株にヒトロタウイルスの遺伝子を組み込んだ遺伝子組換えワクチンです。ロタウイルス胃腸炎(重症度を問わない)に対する予防効果は74.5%、重症化への有効性は98%、入院への有効性は94.5%とロタリックスに比べ、ほぼ同等あるいはやや有効性は高いようです。ただ3回接種する必要があるのと、接種量は1回2mlとロタリックスより多めです。初回接種後の便中排泄はロタリックスより低めであるとされています。アメリカでの承認はこちらの方が早く、2006年です。(米国シェア70%、世界シェア50%)

上記、有効性のデータは国内臨床試験、海外様々な臨床試験のデータがあります。あくまで参考にする程度です。
両ワクチンは全く違った考え方で作られていますので単純に1価より5価の方が優れているといえるものではありません。接種回数と接種量、便中排泄、有効性、価格などを比べていただき、ご希望のワクチンを接種させていただきます。

下記、両者のワクチンのHPも参考に希望のワクチンを決定していただき、接種者のご希望にそって、どちらでも接種します。

Lovebaby.jp ラブベビー愛する赤ちゃんを守るための感染症&ワクチン情報サイト(ジャパンワクチン株式会社)
http://lovesbaby.jp/index.html
産後すぐのロタワクチン (MSD株式会社)
http://35-rota.jp/

 

ポリオワクチンに生ワクチンと不活化ワクチンがあると聞きましたが?

生ポリオワクチンには、病原性を弱めたウイルスが入っています。「生ワクチン」は、ポリオウイルスの病原性を弱めてつくったものです。ポリオにかかったときとほぼ同様の仕組みで強い免疫ができます。また、腸管免疫ができるので、排泄した便から他の児が感染することを予防できるという効果もあります。免疫をつける力が優れている一方で、まれにポリオにかかったときと同じ症状が出ることがあります。過去10年間に15例のこの副反応があり、これを問題とした先進的な小児科医が海外から、より安全な不活化ワクチンを輸入して自費で接種するという行動に出ました。これらの動きに呼応するように、やっと日本でも不活化ワクチンを導入することが決まりました。不活化ワクチンは、不活化した(殺した)ウイルスからつくられます。このウイルスから免疫をつくるのに必要な成分を取り出して病原性を無くして作ったものです。ウイルスとしての感染性は無いので、ポリオと同様の症状が出るという副反応はありません。まれに発熱などの副反応はありますが、より安全なワクチンといえるでしょう。腸管免疫はつきませんから、ポリオウイルスは素通りして便から排泄されますが、ほとんど野生株(ワクチンによらない)のポリオの感染が無い日本では問題にならないと考えています。日本では、1960年に、ポリオ患者の数が5千人を超え、かつてない大流行となりました。その際に緊急に生ポリオワクチンを導入することにより流行はおさまりました。今では評判の悪いワクチンですが、歴史的には非常に大きな役割を果たしたことも記憶しておきたいものです。1980年の1例を最後に、現在まで、野生のポリオウイルスによる新たな患者はありません。現時点では不活化ワクチンの方が優位であることは間違いないでしょう。

 

2012年9月から不活化ポリオワクチンが始まったと聞きましたが?

単独の不活化ポリオワクチンが2012年9月1日からの導入されました。これに伴い生ポリオワクチンの定期予防接種は中止されました。不活化ポリオワクチンは、初回接種3回、追加接種1回、合計4回の接種が必要です。接種年齢・回数・間隔は、3種混合ワクチン(DPT)と同じで、標準的な接種年齢は、次のとおりです。
・初回接種(3回):生後3か月から12か月に3回(20日以上の間隔をおく)
・追加接種(1回):初回接種から12か月から18か月後(最低6か月後)に1回
この期間を過ぎた場合でも、生後3ヶ月から7歳6ヶ月になる1日前までの間であれば、接種ができます。過去に生ポリオワクチンを受けそびれた方も、対象年齢内であれば、不活化ポリオワクチンの定期接種を受けていただくことが可能です。生ポリオワクチンは口から飲む(経口の)ワクチンでしたが、不活化ポリオワクチンは、注射によるものです。長浜市、米原市では生ワクチンは春・秋の接種シーズンに集団接種が行われてきましたが、この不活化ワクチンは多くの市町村では、医療機関での個別接種となり、通年接種が可能になるよう厚労省は指導しています。長浜市、米原市でも、個別接種で2012年9月1日から市内の多くの医療機関で接種可能になりました。繰り返し強調しますが、これまでの生ワクチンは春、秋の季節のみの集団接種でしたが、不活化ポリオワクチンは1年を通して希望の医療機関で接種出来ることになりますので、焦らずに接種されることをお勧めします。追加接種についてもこれまで定期接種としての承認を受けていませんでしたが、2012年10月23日、厚生労働省健康局長通知 「予防接種実施規則の一部を改訂する省令の施行等に ついて」及び厚生労働省医薬食品局審査管理課長・安全性対策課長通知「用法・用量に関連する接種上の注意改訂」により、不活化ポリオの4回目追加接種も可能となりました。

 

4種混合ワクチン(不活化ポリオワクチン+三種混合ワクチン)について教えて下さい。

厚生労働省は2012年9月1日から接種可能となった単独の不活化ポリオワクチンとは別に、4種混合ワクチンを2012年11月1日から接種開始しました。10月25日に正式に長浜市、米原市からも11月1日から開始するとの通知を受けましたので当クリニックでも同日から接種開始しました。4種混合ワクチンとはジフテリア・百日せき・破傷風・不活化ポリオワクチン(DTaP-sIPV)を含むもので、これまでの3種混合ワクチンとポリオワクチンがこれだけで終了できます。不活化ポリオワクチンは、現在用いている単独の不活化ワクチン(イモバックス wIPV)とは異なり、日本のポリオ研究所から提供を受けた弱毒株(セービン株)を用いたもので、世界で始めて使用されるものです。DTaP-sIPVの「s」はセービン株をあらわすもので、野生株(ソーク株)のwIPVとは分けて当クリニックでは表現しております。「w」は野生株をあらわすものです。4種混合ワクチンはテトラビック(阪大微生物研究会製)とクアトロバック(化学及血清研究所製)がありますが、どちらも混在して使用できますので、患者さんにお選びしていただく必要はありません。2015年12月には野生株(ソーク株)のwIPVを用いたスクエアキッズ(ジャパンワクチン)ジフテリア・百日せき・破傷風・不活化ポリオワクチン(DTaP-wIPV)も発売され、さらに選択肢が増えました。

(接種方法)
初回接種:1回0.5mlずつを3回、いずれも20日以上の間隔をおいて皮下に接種する。
       (標準的には56日までの間隔をおいて)
追加接種:初回接種後12ヶ月から18ヶ月になる1日前までに接種する。
標準的な接種年齢は
1期初回接種は、生後3ヶ月〜12ヶ月に達するまでの期間
1期追加接種は、初回接種終了後12ヶ月〜18ヶ月に達するまでの期間

 

すでにポリオ生ワクチンや不活化ワクチンを接種しているのですが?

不活化ポリオワクチン導入前に1回目の生ポリオワクチンを接種された方は、2回目以降は不活化ポリオワクチンを受けることになります。2012年9月時点で、生ポリオワクチンを1回接種した方は、その後に、不活化ポリオワクチンを3回接種することになります。生ポリオワクチンをすでに2回接種された方は、不活化ポリオワクチンの追加接種は不要です。すでに海外や自費で不活化ポリオワクチンをを1回~3回受けている場合、2012年年9月以降に不活化ポリオワクチンの定期接種を受けられます。医師の判断と保護者の同意に基づき、定期の不活化ポリオワクチン3回の初回接種のうち、すでに接種した回数の接種を終えたものとして、残りの初回接種の回数と追加接種1回の不活化ポリオワクチンを定期接種として受けることが可能です。また、すでに不活化ポリオワクチンを4回受けている場合、不活化ポリオワクチンの接種は不要です。

 

B型肝炎ワクチンを勧められましたが、今まで勧められたことがありません。本当に必要ですか?

B型肝炎はB型肝炎ウイルス(HBV)によるVPDです。このウイルスが小さいお子さんの体に入ると、肝臓にすみついて(キャリア化)、将来、肝硬変や肝臓がんをおこす可能性があります。特に3歳以下にうつりますと、90%がキャリア化します。すなわち、現在、内科の先生達が診ておられる慢性肝炎、肝硬変、肝がんの患者さん達は、実は3歳以下でB型肝炎ウイルスに感染した可能性が高いのです。感染力は強く、B型肝炎を持った母親からの分娩時の感染(母子感染)については以前から母子感染予防がおこなわれて来ました。父親や家族や友人からの感染(水平感染)については無防備で日本では対策が練られていません。以前は血清肝炎といわれ輸血や針刺し事故などの血液を介してのみ感染すると考えられていましたが、特に子どもの場合は、感染源が原因不明のことが多く、具体的な感染経路としてキャリアのHBV-DNA量と比例して唾液、涙、汗にHBV-DNAが存在することも知られており、これらも感染源となり得ることがわかってきました。WHO(世界保健機関)では世界中の子どもたちに対して、生まれたらすぐに国の定期接種として接種するように指示しています。全出生児を対象にHBワクチン3回接種は全世界で2004年では70%、2007年では80%が行われています。このユニバーサルワクチネーション(UV)を行っていない国は経済的にとてもできない国と先進国では英国、北欧と日本くらいで、2013年末までにWHOに加盟している193ヵ国の中の183カ国、約95%の国と地域では全員接種方式を採用しています。日本では、毎年大人を含めて2万人以上がかかっていると推定されています。そのために日本でも、全員接種が望まれます。一般の小児科医もHBVに関する知識が少ない、メディアも報道しないのでHBワクチンの認知度は極端に低かったのですが、やっと多くの小児科医がその必要性を気づき積極的に接種するようになってきました。最近、日本ではなかったキャリア化しやすいジェノタイプA(北米、欧州、中央アフリカに多く分布する)のB型肝炎ウイルス感染が広がっています。日本に多いジェノタイプCのB型肝炎ウイルスよりたちの悪いウイルスです。これらの事実を知って是非、乳児に限らず、多くのお子さんにこのB型肝炎ワクチンを接種していただきたいと思います。

小児科学会はB型肝炎ワクチンの定期接種化に向けて要望書を出しました。

B型肝炎ワクチンの定期接種化等に関する要望書

厚生科学審議会予防接種部会等で「広く接種することがのぞましい」とされていた水痘、おたふくかぜ、B型肝炎、成人用肺炎球菌の4つのワクチンのうち、B型肝炎ワクチンについては、2015年1月9日に開催された厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会予防接種基本方針部会において定期接種化に向けた意見がまとめられました。さらに、2016年2月5日に同部会において、B型肝炎ワクチンを2016年10月から予防接種法に基づく原則無料の定期接種にすることを了承しました。対象は2016年4月以降に生まれる0歳児です。原則として生後2、3、7〜8ヶ月の3回接種が標準となります。妊婦がB型肝炎ウイルスに感染していた場合、子への母子感染防止のため生後12時間以内に1回目の接種をしており、定期接種の対象からは除外されます。
 
定期接種化する場合には、法令等において、以下の内容を規定しています。
対象年齢 生後1歳に至るまでの間にある者(施行令)
接種方法 組換え沈降B型肝炎ワクチンを27日以上の間隔で2回、更に、初回接種から140日以上を経過した後に1回を皮下に注射するものとする。接種量は0.25ミリリットル。(実施規則)
標準的な接種期間 生後2月に達した時から生後8月に達するまでの期間。(実施要領(健康局長通知))
 
更に、使用するワクチン製剤は遺伝子型A型、C型どちらのウイルス由来の製剤も選択可能とするとしています。今後、技術的な問題が解決され、国民に対して広く接種機会を提供する仕組みとして実施するためには、前提として、ワクチンの供給・実施体制の確保、必要な財源の捻出法等の検討を行った上で、関係者の理解を得るとともに、副反応も含めた予防接種施策に対する国民の理解が必要としています。
 
繰り返しますが、
対象者は 「2016年4月以降に出生した者」 です。
つまりそれ以前に出生された児は対象となりません。現在も、定期接種になるのを待っている方がおられるようですが、上記の点をご理解いただきお早めに任意接種(有料)でB型肝炎ワクチンを接種されることをお勧めします
 
(ワクチンの不足問題に関して)
2015年10月に、一般財団法人化学及血清療法研究所(化血研)が製造販売するワクチン製剤等の承認書と製造実態の齟齬等について、厚生労働省へ報告が適切になされなかったことが明らかとなり、2016年1月8日より110日間の営業停止処分を受けました。化血研製造のワクチンは全ワクチンの1/3程度を占めていますのでその影響は多大で、営業停止以前から化血研の多くのワクチンは出荷自粛されワクチン不足が生じていました。しかし、厚生労働省は、審議会の意見等を踏まえ、2016年1月29日付けで、化血研のB型肝炎ワクチン「ビームゲン 」、A型肝炎ワクチン「エイムゲン 」出荷自粛の要請を解除することを発表しました。これにより、両ワクチンの不足状態は回避されたと思われます。ワクチン自体の安全性、効果には何ら問題は有りませんから、ご安心下さい。
 

予防接種体制がずいぶん変化しているようですが?

当クリニック開院の9年前には現在普通に接種しているHibや肺炎球菌ワクチンなどは世界では既に普通に接種されていました。やっと麻疹風疹ワクチンが接種可能になったばかりで、世界の予防接種から随分遅れていました。「ワクチンギャップ」という言葉が盛んに言われ、熱心な小児科医が世界の予防接種に追いつくため大変な努力をしていた時期でした。2008年以降の予防接種の導入、定期接種化、時期の変更などを以下に示してみます。
 
2008年12月  Hibワクチン導入 (2013年4月に定期接種化)
2009年6月   日本脳炎ワクチン導入 (2009年6月に定期接種化)
2009年12月   HPVワクチン(2価)導入 (2013年4月に定期接種化)
2010年2月   肺炎球菌ワクチン(7価)導入 (2013年4月に定期接種化)
2011年4月   日本脳炎ワクチン導入 (2011年4月に定期接種化)
2011年8月   HPVワクチン(4価)導入 (2013年4月に定期接種化)
2011年11月   ロタウイルスワクチン(1価)導入
2012年7月   ロタウイルスワクチン(5価)導入
2012年9月   不活化ポリオワクチン導入 (2012年9月に定期接種化)
2012年11月   四種混合ワクチン導入 (2012年11月)
2013年4月   BCGの接種時期の変更
2013年10月   肺炎球菌ワクチン(13価)導入 (2013年11月に定期接種化)
2014年10月   水痘ワクチンの定期接種化
2015年3月     肺炎球菌ワクチン(10価)承認
2015年5月   髄膜炎ワクチンの導入
 
2012年年5月23日に開催された第22回厚生科学審議会感染症分科会予防接種部会では予防接種法の改定に向けて議論が行われ、定期接種化するべきワクチンとして7種のワクチンのうち、残念ながら、おたふくかぜ、B型肝炎のワクチンについて現時点では定期接種化していません。ただし、B型肝炎ワクチンについては2016年10月には定期接種化する予定ですし、ロタウイルスワクチンも今後の定期接種化への検討は始まっています。その他にも将来の課題として麻疹風疹おたふくかぜワクチン(MMR)、麻疹風疹おたふくかぜ水痘ワクチン(MMRV)や多価ワクチン(5種混合ワクチンなど)を日本でも使えるようになると接種数も減りお子さんの負担も軽減できると思います。まだ、数年は接種するべきワクチンは変わってくる可能性があります。

 

インフルエンザの流行、過去のパンデミックについて教えて下さい。

インフルエンザの流行を考えるとき、毎年、少しずつ抗原性を変えて流行する季節性のインフルエンザと、突然出現する大きな変異を伴う新型のインフルエンザが有ることを知っておく必要が有ります。季節性のインフルエンザについては次年度の流行株をある程度予測してワクチンが準備されます。発症を完全に予防できるものでは有りませんが、ある程度の重症化の予防には役立っていると考えています。今後出現するであろう新型のインフルエンザについてはワクチンが準備されていません。私たちは新型インフルエンザについては全く無防備な状態であると考えて下さい。過去の新型インフルエンザの流行(パンデミック)の歴史を知って、それぞれ個人が自己防衛のためにどのようにインフルエンザに対して準備をしておくか考えていただきたいと思います。20世紀の新型インフルエンザは、国内では、すべて2回の流行を起こしている事実を理解して対策を考えることも重要です。世界では、時に3回の流行も記録されています。スペインかぜは1918~19年の大規模な第1波、1919~20年のやや規模の小さな第2波と2回流行しました。アジアかぜは、1957年春の第1波、秋の第2波とやはり2回流行しました。香港かぜでは1968~69年の第1波は小さな流行でしたが、翌1969~70年に大きな第2波の流行となりました。過去のどの新型インフルエンザでも、出現して1~2年以内に25~50%、数年以内にはほぼ全ての国民が感染すると言われています。スペインかぜだけでなく、その後のアジアかぜや香港かぜの際にも初期には若い年齢層に被害が多く見られ、数年後に被害は高齢者中心に移行することが観察されています。インフルエンザの専門家は過去のパンデミックから考えると、流行は2回。1回に付き人口の25%前後が発症する。2回で50%前後。発症者の年齢分布は、1回目と2回目で違う。第一波では、成人の10%、小児の80%が発症すると予測しています。

 

インフルエンザワクチンを受けたいのですが、、、?

インフルエンザの感染者の多くは軽症のまま回復しますが、ごく一部に重症化している方がいます。このワクチンの目的は、あなたのお子さまに接種することで、インフルエンザに感染して重症化しにくくすることにあります。ただし、ワクチンの効果は完全でなく、接種したからといっても、確実に重症化を予防することができるわけではないことも理解しておく必要があります。当クリニックでは来シーズンのインフルエンザワクチンの接種は10月1日から開始しする予定です。2015/16シーズンからは4価ワクチンが導入されました。従来、季節性インフルエンザワクチンには、A/H1N1pdm09、A/H3N2ならびにB型株については山形系統あるいはビクトリア系統のどちらか一方のワクチンが選ばれていました(B型1系統)。しかし、近年、B型インフルエンザは2系統(山形系統とビクトリア系統)の混合流行が続いていることから、WHOは2013年からB型2系統を推奨しました。米国では2013/14シーズンから4価ワクチンが製造承認され、世界の動向は4価ワクチンへと移行しています。日本での来シーズン(2017/18シーズン)はA型株としてA/Singapore(シンガポール)/GP1908/2015(H1N1)pdm09 と A/香港/4801/2014(H3N2)、B型株として B/プーケット/3073/2013( 山形系統)、 B/テキサス/2/2013(ビクトリア系統)が選ばれました。また、4年前のシーズンより接種量が改訂されています。WHOの基準に沿って、6ヶ月以上3歳未満のものには0.25mlを皮下に、3歳以上13歳未満のものには0.5ml(成人量)を皮下におよそ2~4週の間隔をおいて2回注射します。13歳以上のものについては、0.5mlを皮下に1回または2回注射するものとされています。3歳以上が成人量の接種となったことより外国と同じように1回の接種で充分ではないかという意見もあります。ただし、外国で用いられているワクチンはアジュバンド(免疫賦活剤)を含むもので筋肉注射ですから、同じ免疫効果が得られるとは考えにくく2回接種が重要との意見もあります。実際に乳幼児にはインフルエンザワクチンの効果がつきにくく、接種してもインフルエンザを発症される方が多いという印象をもっています。1回では不十分で2回の接種は必要と考えています。当クリニックでは昨年度は厚労省の改訂どおり2回接種をお勧めすることとしました。

 

1歳未満児はインフルエンザワクチンを受けられますか?

「1歳未満の小児の取り扱いについて」として厚労省の要綱変更に伴い、滋賀県は2010年1月20日に各医療機関に対して次のような通達を出しました。
  1歳未満の小児については、健康成人と同様に「優先接種対象者以外の者」とされていたため、この度の要綱変更に伴い、接種することは可能となりました。ただし、1歳未満の小児については、予防接種によって免疫を獲得することが困難なため、(新型)インフルエンザワクチン接種に関しても推奨はされませんが、有益性とリスクについて、保護者と医師が十分に考慮した上で、ご判断いただきますようお願いします。
  当クリニックでは上記の通達を受けて、1歳未満児で強く接種を希望される場合には0歳6ヶ月以上の条件で接種させていただきますが、一般に1歳未満児は接種しても効果が出にくいことはご理解下さい。

 

インフルエンザワクチンの安全性について教えて下さい。

インフルエンザワクチンは一定の安全性が確認されています。
  ただし、接種した場所が赤くはれたり、痛みが数日続いたりすることがあります(発赤、腫脹、疼痛など)。また、一時的に発熱したり、吐き気や頭痛をおぼえることもあります(発熱、悪寒、頭痛、倦怠感、嘔吐など)。さらに、まれに全身にかゆみのある発疹が出ることがあります(発疹、じんま疹、発赤、倦怠感など)。こうした症状が強く出てしまった場合には、医師に相談することで、適切な治療を受けることができます。
  季節性インフルエンザの場合、接種した場所のはれや痛みなどは、接種を受けられた方の10%~20%に起こりますが、2~3日で消失します。
  そのほかに、ワクチン接種が原因かどうか明らかでありませんが、急に手や足の動きが悪くなったり、意識を失ってしまったりといった重い症状が出ることもあります(ギランバレー症候群、急性脳症、急性散在性脳脊髄炎、けいれん、肝機能障害、喘息発作、紫斑など)。この場合も速やかに医師の治療を受けることで多くが回復しますが、極めてまれに後遺症を残すこともあります。厚労省の定期接種ワクチン副作用報告の発表はあくまで有害事象報告で、因果関係を疑われるもの、因果関係のないもの、時間的に報告の期限を過ぎたものなどが含まれています。これらを単純に集計しただけのものです。専門家が判定して因果関係が無いと判定したものも含まれているということです。上記の副作用としてあげられているものも確かな根拠のあるものでは無いということです。しかし100%安全とも確信を持って言えるデータもありません。総合的考えて私はインフルエンザワクチンはかなり安全性の高いものと考えています。予防接種は強制されるものではありません。利益がリスクを上回るとの考えでお勧めしています。受けるかどうかは上記のリスクも考慮した上で自己責任でお決め下さい。

 

卵アレルギーがありますがインフルエンザワクチンは受けられますか?

日本小児科学会新型インフルエンザ対策室は「わが国の季節性インフルエンザワクチン中の卵白アルブミン量は、数ngときわめて微量でWHO基準よりはるかに少ないようです。これまでは、卵白 RAST 3以上でも、卵加工品などを食べている児では、接種後の重篤な副反応の報告はなく、安全に接種出来ています。卵完全除去療法中や卵摂取後に重篤なアナフィラキシーをおこした児の場合、インフルエンザの罹患率や入院率、ワクチンの有効性や副反応発生率、集団生活への参加の有無、家族数など多くの要因を考慮して接種するかどうか判断する必要があります。保護者の強い希望や接種医に不安がある場合、事前に接種ワクチンによる皮内テストを行い接種する方法や少量接種して異常なければ残量を接種する方法もあります。」との見解を述べています。これを受けて、当クリニックでは明らかな卵アレルギーのある方はお断りしています。卵加工品などをを食べておられる方については、ご家族とよく相談して接種するか否かを決めています。どうしても受けたいご希望の方は小児アレルギーを専門とする病院の小児科医とご相談下さい。リスクを承知でお受けになる場合にも急変に対応できる設備、人員の確保された病院(診療所ではなく)の方が安全だと考えています。

 

予防接種による健康被害の救済制度について教えて下さい。

現時点での予防接種による健康被害の救済には、定期予防接種による健康被害と、任意予防接種による健康被害の二つの制度があります。 定期接種(三種混合ワクチン、麻疹・風疹混合ワクチン、など)は予防接種法に基づく救済制度が適応されます。予防接種法による救済の対象となるのは、この法律で定められている予防接種を決められた年齢(定期予防接種)で受けて起こった健康被害によって、医療を必要とする人、障害の状態になった人、死亡した人です。 厚生労働省予防接種法関連
任意接種のワクチン接種を受けた方が、ワクチンの接種によって医療機関での治療が必要になったり、生活に支障がでるような障害を残すなどの健康被害が生じた場合には、現時点では、独立行政法人医薬品医療機器総合機構法に基づく救済制度により、将来的には、現在検討中の新法により、一定の補償を受けることができます。 医薬品副作用被害救済制度